シェットランド島ガイド

このページでは、シェットランドの気候や四季の様子、自然の様子、エリアごとの見どころを一気に解説します。

シェットランドってどんなところ?

🌍️シェットランド諸島は、スコットランド本土から100マイル(170km)離れた北海に浮かぶ、小さな島々の連なりです。

遠く離れているわりには、エディンバラやアバディーン等の主な都市から、飛行機で1時間強、夜行フェリーで12時間でアクセスできます。大西洋と北海がぶつかる荒海と雄大な海岸線、緑の丘が魅力です。

🌍️北緯60度といえば、アラスカやカナダ、ロシアと同じくらいの高緯度です。でも、緯度が高いわりには、暖流の影響で氷点下にはあまりなりません。平均気温は、夏は13~15度、冬は3~6度。夏でも涼しく、雨が降ると肌寒いです。イギリスの他の地域が熱波でも、シェットランドはいつも涼しいです。(海水は冷たいですが年中泳げます。)

🌍️夏は、半袖で過ごせる日も時々ありますが、朝夕は長袖や上着が要ります。夏でも、セーターや毛糸の帽子がほしい日もまあまああります。

冬は、毛糸のセーターに厚手の上着と、毛糸の帽子・毛糸のマフラー・毛糸の手袋のフル装備が必要です。島特産のニット製品は、年中売られています。

暖炉では、夏の間に地中から掘って乾かした泥炭が燃やされます。島にはほとんど木が生えていないので、泥炭が貴重な燃料です。泥炭の炎は香りがよく、暖かさが持続する気がします。写真は、家の手伝いで泥炭を乾かす姪っ子。小さい頃からしているので、手早い。

🌍️年間を通して風が強いため、傘がさせません。(一瞬で傘が壊れます!)雨が降っても、雪が降っても、現地の人たちは上着のフードや毛糸の帽子をかぶって、びしょびしょに濡れながら歩いています。フード付きのウィンドブレーカーなど防水性の上着が必須です。

🌍️季節ごとの気温差は小さいですが、日照時間がダイナミックに大きく変化していきます。

夏の夏至(6月21日)の頃は日が長く、晩24時くらいまで外で本が読めるくらいに明るいです。日没後も真っ暗にはならず、一晩中空が薄明るいまま、夜が明けます。野にワイルドフラワーが咲き乱れ、丘はヘザーheatherで紫色に染まります。

逆に、冬は日が短く、冬至(12月21日)頃には、午後3時くらいに日が沈んで真っ暗になります。夜は長く、漆黒の闇の世界です。夜空は星がきれいに見え、時々オーロラも見られます!

秋は毎日、目に見えて日が短くなっていき(毎日5分ずつ)、10月末のハロウィーンの頃には、午後4時くらいには暗くなります。逆に、春は毎日5分ずつ日が長くなっていき、サマータイムに切り替わる3月末には、午後8時くらいまで明るいです。この変化が本当にドラマティックです!

秋から冬は暗くて、毎日のように冷たい雨が降ります。気候が厳しく木が生えていないので、日本のような紅葉はありません。11月頃から雪も時々降り、年に数回積もります。冬の晴れた日(たまにしか晴れない)の風景は、この世の奇跡!と思えるくらい、息をのむ美しさです。

春は、台風並みに強風が吹く日が多いため、実際の気温よりも体感温度が低く、また雨がしょっちゅう降ります。日本の温かい春とは違って、スノードロップスと水仙が雨風に耐えながら咲いている厳しい季節です。「5月が終わるまで、冬服をぬいではいけない」ということわざがあります。

🌍️一年を通して、気候は日本より厳しいですが、その美しさは、言葉では言い尽くせません。

会える動物たち

たくさんの手つかずの自然に囲まれているので、さまざまな野生動物がいます。

🦭アザラシ seal

海辺で普通にいます。砂浜や岩場でひなたぼっこをしている姿をよく見かけます。運がよければ、一緒に泳げるかも。アザラシはセルキーと呼ばれて親しまれ、海の妖精だという伝承が各地にあります。

カワウソ otter

普通に海辺に生息しているので、運がよければ見られます。ウニやカニの甲羅が海辺に落ちていたら、カワウソの食べた跡です。

初めて遭遇した時、思わず、otterがおったー!!!と叫びそうになりました(笑)可愛すぎる!

パフィン puffin

和名はニシツノメドリ(西角目鳥)、鮮やかなオレンジ色のくちばしがチャームポイント。飛ぶ姿も、ポテポテ歩く姿も、とにかく可愛すぎてずっと見ていられます!渡り鳥で、5月頃になると繁殖のためシェットランドにやってきます。はるばる西アフリカから飛来するのだそう。海に面した崖の上などでよく見かけます。

シャチ orca/ killer whale

海の殺し屋という恐ろしい威名をもちますが、一年を通してよく見られる美しい生物です。シャチ・ウォッチングのボートツアーも各社出ていますが、首都ラーリックにも泳いできます。鯨もイルカもシェットランドでは身近に見られます。

波止場で寝そべってるアザラシと、そのすぐそばでサーフィンする人たち(正月)

家畜たち

羊 sheep

羊の数が人口よりはるかに多いです。メインの道路のすぐ両側で、羊たちがふつうに草を食べています。島の北の方や西の方、離島に行くと、羊が当たり前のように道路にはみ出して歩いているので、運転する人は注意が必要です。羊が道を完全によけてから、車は通ってください。子羊は母羊を追って急に飛び出すことがあるので、子羊には特に注意。

シェットランドポニー Shetland pony

シェットランド原産のポニー。元々、泥炭や海藻を運んだりする農業用に使われていました。小さいけれど力が強くて賢く、ふさふさの毛でおおわれていて寒さにも強いです。夏の間あちこちで放牧されているので、ふつうに見ることができます。

牛 coo

ウシもあちこちで放し飼いで放牧されています。地元の酪農家の牛乳が、濃厚で本当に美味しいです。この味が当たり前になると、日本の牛乳が飲めなくなります(笑)

ニワトリ hen

ニワトリも放し飼いで飼われています。自然の状態で飼われているニワトリの卵は美味しいです。写真、毎日卵を集めるのは姪っ子の仕事です。

シープドッグ sheepdog

シェットランド・シープドッグはこの島が原産です。うちの甥の家でも飼っており、他にも時々飼っている人を見かけます。シープドッグとは言いますが、牧羊犬としてではなく愛玩用に飼う家が大半なのではないかと思います。羊の番をして働いている犬たちは、もう少し大柄なコリー犬をよく見かけます。賢くて従順な犬たちです。

エリアごとの見どころ

ここでは、シェットランド全体を6つのエリアに分けて解説していきます。

1. 首都ラーリック、ブレッサ島、ノス島

首都ラーリックLerwick (古語で「ぬかるんだ沼」の意味)は、昔から良港として知られ、漁業や交易の拠点として発展してきました。スコットランド本土からのフェリー(ノースリンクフェリー)も、ラーリックを発着します。船での交通は、ヨーロッパだけではなく、かつて北大西洋を渡って遠くグリーンランドやカナダにも航海していたそうです!ニシン漁や捕鯨で商人たちはかなり儲けたらしい。

海辺には古い石造りの建物が多く並び、建物の地下には、密輸業者たちが掘った秘密のトンネルが張り巡らされているとの噂です。コマーシャルストリートは歴史を感じさせる石造りの古い建物が並ぶ通りで、銀行や様々な店舗、手芸用品店やニット店、お洒落なカフェやレストランなどが軒を連ね、お土産を買うならここがおすすめです。

ブレッサ島は、ラーリックの港から船でわずか7分で渡れます。昔ニシン漁が盛んだった島で、南端に灯台があります。

ノス島は、国の自然保護区に指定されており、貴重な海鳥たちの居住地として知られています。

2. 古都スカロワ、トロンドラ島、バラ島

古都スカロワScalloway (「大きな家のある湾」の意味) は良港で、青銅器時代には既に人が住んでいた痕跡が残っています。バイキング時代にはティンウォルTingwallに役所が置かれ、1708年にラーリックに都が移されるまでシェットランドの首都として村は栄えました。1600年に建てられたスカロワ城は、工事のため現在立ち入り禁止ですが、城内部は石造りの部屋が当時のまま残されています。村には古い石造りの建物が多く並び、石畳が美しいです。スカロワ博物館では村の歴史を学べます。

トロンドラ島は、たくさんの羊たちが放牧されるのどかな島です。スカロワのイースト・ヴォー(東の入江)から、橋で渡ります。

バラ島Burraは、美しいビーチと港で知られる島です。トロンドラ島から1本道(B9074)をまっすぐ進んで橋を渡ると、西バラ島West Burraです。ミールビーチMeal BeachやMinn Beachは白い砂浜が美しく、散歩や海水浴にうってつけです。東バラ島East Burraにも橋で繋がっています。

3. 島南部スースメインランド

島の南側はスースメインランドSouth Mainlandと呼ばれます。古代の人が一番最初にたどり着く場所だったと考えられており、紀元前2700年頃には入植者がいたと言われます。島の南端にJarlshofヤールスホフ遺跡があり、鉄器時代の砦の様子が見られます。

サンバラヘッドSumburgh Head (「南の砦の岬」の意味)には、大きな灯台とビジターセンターがあります。灯台は、スティーブンソンRobert Stevenson が設計し、1821年に建てられました。(「宝島」を書いた作家スティーブンソンRobert Louis Stevenson の祖父です。) 岬はたくさんの海鳥が集まる場所で、渡り鳥パフィンが観察できます。サンバラ空港は、小さな空港ですがスコットランド本土からの玄関口です。

セントニニアンズビーチSt. Ninian’s Beachは、セントニニアンズ島へのエンジェルロードになった美しい浜辺が人気のスポットです。12世紀の教会跡地から、古代ピクト人の宝物(銀のブローチや器など)が発見されたのが有名です。

ダンロスネスDunrossnessにある農家博物館The Crofthouse Museum は、伝統的なシェットランド農家が保存展示されており、建物内は昔の道具が置かれて、農民たちのシンプルな生活が再現されていて、とても面白いです。時々伝統音楽のコンサートも行われています。

4. ウェストサイド

島の西側エリアは、ウェストサイドWestside と呼ばれ、複雑に入り組んだ入江(voeヴォー)が特徴です。漁業が盛んで、魚介類の養殖がたくさん行われています。また、カヤックやヨットなど海のアクティビティも人気です。アザラシやカワウソ、海鳥たちの生息場所として知られ、「カワウソ注意」の看板が見られます!ワーズWallsやスケルドSkeldなどの村々では農業ショーが盛んで、その時には音楽や踊りが欠かせないのだそう。

ビクスター村Bixsterには、元祖ケーキ・フリッジThe Original Cake Fridgeがあります。道端にオーネスティボックス(正直箱)と呼ばれる商品箱があり、お金を入れて商品を自分で取る仕組みです。日本にも田舎の方に行くとありますよね。シェットランドでは、地鶏卵のオーネスティボックスや、野菜のオーネスティボックスをあちこちで見かけます。このシステムが維持できるということは、ここの人々が正直者で、盗みや不正は起こらないということです。

ここが、コロナの時期に、シェットランドで最初にケーキの冷蔵の無人販売を始めた場所で、毎日24時間開いており、横には有人のカフェも併設されて金土日11~16時営業しています。

5. 北西部

火山活動によって形成された沿岸部の風景ががとても美しいです。イシャネスEshanessは美しい景観と、スティーブンソンの設計した灯台が有名です。また多くの島もあり、雄大な自然を思い切り満喫できる地域です。

ロナス・ヒルRonas Hillは、シェットランドで一番高い丘で、標高450mです。ハイキングや登山が人気です。

ブレイ村Braeには、イギリス最北端のフィッシュ&チップス屋、フランキーズFrankie’sがあります。北西部に向かう前の腹ごしらえに最適!

6. イェル島、アンスト島、フェトラー島

イェル島Yellは自然豊かで、ヨーロッパで最も多くカワウソが見られる場所なのだそうです。民話や伝承の宝庫でもあります。

アンスト島Unstは、シェットランド最北端の島です。ということは、イギリス最北端です。バイキングの遺跡が多く残り、住居跡が60以上も見つかっていますが、住居や船のレプリカからも昔のバイキングの暮らしを想像できるでしょう。ハロルドウィックHaroldwick にはイギリス最北端の古代の教会があり、島南部のムネス城Muness Castle(1598年建設)は、イギリス最北端の城です。Unst Boat Havenは漁業や船に関する博物館で、Unst Heritage Centre は昔の生活の様子がわかる資料館です。

フェトラー島Fetlarは、「シェットランドの庭Garden of Shetland 」の愛称をもつ、緑豊かな美しい島です。アザラシが日向ぼっこする美しい海岸もあり、景色がよいので、ハイキングがおすすめです。

島の交通事情

このように、見どころたくさんあるシェットランド。島内は州営の路線バスが走り、どこまで乗っても2ポンドという、良心的な値段で乗車できます。本数は1時間に1本程度しかないので、シェットランド交通Shetland Travelのアプリまたはウェブサイトで時刻表を確認してください。バスのない場所もたくさんあるので、その場合はレンタカーを借りるか、タクシーを依頼するかでしょう。

各島へはフェリーが運航しています。離島のフェア島、フォーラ島へも、船で渡れます。

美しいフェトラー島はハイキングに最適